概要

本計画は沖縄県本島南城市の緑豊かな住宅地の一角に一戸建ての住宅を新築するプロジェクトである。
施主ご夫婦からのご要望として、「家族でのびのび暮らせる家」「コンクリート打ち放しを内外で
感じられる家」を求められた。

設計計画としては、打合せを重ねる中で「のびのび暮らす家=家族で共有する空間の比重が高い家」という
軸をつくり、計画を進めた。空間を共有することで限られた面積をより必要な箇所に配分できる利点がある。
今回の計画では、子供が小さいこともあり当面は「主寝室」「子供室」という居室はなく、「寝室」
「多目的室」として親子で共有し、その分リビングダイニングをできるだけ広くとる計画としている。
子供の成長に合わせて「多目的室」は「子供室」となる予定であり、リビングと床の高さを変えることで
視線をずらし、プライバシーに配慮している。天井の高い部分(3.0m以上)と低い部分(1.4m以下)をつくり、
幅のある利用ができる計画としている。

外観はコンクリート打放しとし、耐候性のある仕上げを採用することで美観とメンテナンスに配慮している。
またリビングダイニング・寝室の天井を躯体現しとすることで、インテリアのアクセントとすると同時に
視覚的な連続性を与えている。躯体現し部は外断熱とすることでその他居室と変わらない断熱性能としている。

また、庭へと続くリビングダイニングの開口を最大限広くとることで、テラスを開放的なリビングの一部として
考えている。テラスの軒が沖縄の強い日差しと風雨を和らげる雨端空間となっており、アウトサイドリビングとして
家族や友人とくつろぐ場であると同時に周辺の豊かな緑や雨を景色として楽しむ大きな額縁としても考えている。
少しずつ足していく植栽の成長具合に合わせて、窓から見える景色は四季変化していく。
住み手と家は長い付き合いになる。この変化も家族の成長と共に楽しんでもらえることを期待したい。