概要
沖縄県中南部の高台に一戸建ての住宅をたてるプロジェクトである。施主からの要望は
高台という立地を生かして眺望を生かすことはもちろん、毎朝リビングでたっぷり朝日を感じる住まいであること、
将来想定されるお盆や正月の来客に加え、友人知人の宿泊も考慮し和室はLDKと離すこと、
沖縄の住宅らしく風の抜ける住まい、太陽光や雨水を生かした環境に配慮した住宅であることであった。
「空と繋がる窓」をリビングの吹抜け南側と東側に設けた。これらの窓は朝はたっぷりと自然光を取り込むと同時に
一日の中で変化する沖縄の空模様を絵画のようにきりとる。各窓の庇の有無、形状を変えることで高台のメリットを
生かしリビングへの日射量について考慮した計画となっている。
LDKの大きな掃き出しは二階のテラス床スラブを利用した深い軒下のテラスを通して庭、その奥の景色へと視線を繋ぐ。
大きな開口部と深い庇は沖縄の伝統的民家の中村家にも見られるように沖縄の強烈な自然環境と暮らしの快適性の
バランスを上手くとるための知恵であり、それを条件の異なる窓に組み込むことで施主の要望の実現に努めた。
南側の大開口を中心に、北側の半屋内物干場、西側の玄関と各部が風を効果的に取り込むことで心地良い住まいと
なっている。夏は風のない日を除いて空調いらずになっていると施主からの言葉が嬉しかった。
沖縄では家族と親戚の繋がりが深い家庭もまだまだ多く、正月お盆など行事ごとの際に多くの人が集まることも少なくない。
また、来客時の宿泊場所としての利用も求められてたことから玄関からLDKを通さず直接アプローチできるように計画。
内部の意匠もLDKと分けることで、壁の仕上げを左官仕上げ、天井を木パネリング貼りにするなどより和室らしい落ち
着いたしつらいになるよう計画。
南側の庭側への開口はLDKと同じ向きに広くとり緑と眺望が広がり気持ちの良い空間となっている。
太陽光パネルと蓄電池を備え、雨水ろ過タンクも日々の生活に取り入れることで設備面では積極的に省エネに
取り組みつつも、風通しの良い住まいを計画することであくでアクティブ技術とパッシブ技術のバランスに配慮する、
現代性と先人の知恵を組み合わせたような住まいの実現を目指した。
設計監理 株式会社 アトリエセグエ
構造 黒岩構造設計事ム所
施工 株式会社 沖秀建設
撮影 アーキメディア沖縄